中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
違反だよね!! …いやあ、そのニュースを訊けただけでもとても嬉しいよ!! 今年初っぱなから君と会えたし、良いこと尽くめだよ!! ささ、もう一度乾杯しようよ、アルバム完成にさ!!」
僕はそう言って、君と乾杯をした。アルコールが十分回っているのもあったが、望んでいた朗報に思わず有頂天になり、文芸誌の表紙の上に酒を数滴、零した。君は僕と目を合わせると、ゆっくりと俯いて微笑んだ。
「お酒には強い方なの?」
「うん、昔あるミュージシャンに憧れて、お酒で喉を潰してハスキーボイスにしようと思ったけど、全然ダメだった。しかも飲みながら真夜中に歌ってたから、当時住んでいたアパートの下の住人から五月蠅い!!
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