中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
楽しんでいるのだと認識し、連続されて演奏される曲を喉がからからになるまで君の声に合わせて熱唱した。
会場の観客達がバテてきた頃合いを見計らっていたのか、君と君のバンドは歌と演奏を止め、一旦舞台袖に下がり、企画ツアー限定Tシャツとズボンに着替えて、波のように押し寄せる喝采を浴びながら、フリートークを始めた。照明がステージ上を真っ白に照らして、君は時々水分補給をし、これまた企画ツアーのタオルで汗を払拭しながら、ここ札幌に久し振りに来て、もう雪が降っている事に驚いたことや、やっぱり食べ物が美味しいだのと、饒舌なユーモアを交えながら観客の笑いを取っていた。そしてトークが終わると、再び真面目な表情に変わ
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