中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
れていた。僕は推敲前の小説のプリントの裏にチケットショップの電話番号を書き留め、ホームページを閉じた。

 翌日、大学の並木道のベンチで彼女にミニツアーの事を話すと、彼女も君のライブに行きたいと言い、その場で僕は電話でチケットを二枚予約し、授業が終わってから、コンビニへ行ってそれを購入した。



 ライブの前日は、全くと言っていい程寝付けなく、しかも異常に喉が渇いて、水をがぶがぶと飲み、トイレに行く為に何度も階段を往復した。それ程僕にとって君のライブは一大イベントだったのだ。

 当日、僕は初めて授業をサボり、彼女(彼女は結構授業をサボっていたらしいのだ)と地下鉄に揺られてライブ
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