中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
シングルの歌詞を書いている時、なんか、自分の内臓を巨大なスプーンで抉り出されるような気分だったよ。君は小説を書いている時に、そんな気持ちになったことはないかい? 僕は、結局書ききったけど、希望のある歌のように聞こえて、実は?父親?への怨みが、すごく込められた暗い歌詞なんだ」
二階にある、君のバンドのコーナーで、君はニューシングルの表紙のデザインを確かめたり、裏返したりしてみた。僕は既にインターネットや衛星放送で流されている、ニューシングルのプロモーションビデオの映像と歌詞を思い出しながら、手渡された密封されているCDケースを両手で持って、イラストを眺めていた。そう言われてみれば、確かにプロモも
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