中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
き通すと思う。君は…君は優しいから、きっとそこまで思わないと思うけど…」
「…本音を言うとさ、今君の言ったぐらいのことを四六時中考えていたよ。スタジオで練習している時も、新作シングルの取材を受けている時も、新作アルバムをレコーディングしている時も、娘をお風呂に入れて、湯船に浸かりながら彼女の父親に似た濡れた瞳を、思わず幼子にでも恐ろしく映る、憎悪に満ちた顔で睨み付けて、娘を泣かしてしまった時も。?父親を殺す?、って考えてた時、景色が中心から渦を巻いたように変形して、眼球の熱が上昇して周りのあらゆるものを破壊したくなるんだ。?抹殺?したくなるというか。でも、意識の宇宙のようなものに浮かぶ白い何かが
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