中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
就職活動をまるでしていなかった僕は、四月に入ると、主に同人誌を発行している会社でアルバイトとして働いた。君が出てくる夢はもう見なくなった。新人賞の発表の連絡が来る夏まで、毎日がプレッシャーで押し潰されそうだった。僕は君から貰ったメールの返信はしなかった。君と現実で再会する為に。そしてある七月の下旬の日の夜、家族で食事をしている最中に、突然電話が鳴り、僕が我先にと出ると、なんと、それは新人賞受賞の連絡だった。僕は歓喜に満ち溢れ、電話を握り締めたまま、涙を流しながらガッツポーズをした。僕はとうとう自分の夢、いや、?目標?を達成したのだった。
一年後、今までの人生の中で、一番高価な
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