中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
に、思わず横隔膜の底を打つような滴を落とした。僕が小説を応募する文芸誌の表面に弾けて滲んだ時、ますます僕の涙の量は増し、声を上げて泣いていた。君とのこの空間での思い出が涙に溶けて流れていく。僕は頭が空っぽになるまで泣いた。時々君の存在に意識を向けたが、鼻の啜る音だけが耳に残った。
時間が僕達の心に刻む記憶の中で、この一時が最も心地良かった。僕達はまるでもう二度と会うことのできない恋人達のように、刻々と朝へ向かっていく時の流れに身を任せて(やはり涙だけでは別れの悲しさを昇華することができなかった)、自分達の思いのままに、限られた時間の中で僕の作品の最終チェックをして過ごしていた。僕はこの作品が認
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