中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
識の内に、そろそろ君から依存乖離しなければ、という声が僕の中から聞こえた。それは君との別れを意味していた。どうしてそのような声が聞こえてきたのか。君は僕を見てずっと微笑んでいる。その間勝手に思考を始めた僕の脳は、君が突然メロディーを口ずさむと同時に答えを生み落とした。
「思いついた」
突然君はそう呟いて、何度も美しいメロディーを口ずさみ、改良を繰り返し、僕に聞かせながら、自分自身にも聞かせているようにも見えた。
「僕達は自分自身の暗闇を光に変え、且つ同じそれを共有する空間からそろそろ脱却しなければならないね」
すると君は少し驚いた表情をすると口ずさむのを止めて、穏やかな表情となり、眼球
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