中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
て二つに分けたように。…あれ程隠し子には忠告しておいたのに、結局彼は自首してしまったね。やっぱり君の言う通り、真実は必ず暴かれてしまうんだね。自然にではなく、必然的にね」
「決して恵まれた環境で生まれて育ったわけではないにしても、隠し子にもちゃんと理性が備わっていて、きっと、?君が代わりに捕まっちゃったら駄目だ?と長い苦悩の末に結論を出したんだろうね。それこそ自分自身の理性や倫理に?背く?ことができなかったんだ。僕は、そう思うよ」
君もまた、僕の言葉を吸収して暫く沈黙があった末に、ゆっくりと頷き、唇を緩ませた。僕は久々に君の笑顔が見られて、嘘も偽りも無く、純粋に嬉しかった。と同時に、無意識の
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