中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
た。君や君の父親の隠し子のような思考に至るのを想像するだけで、恐怖により全身の血行が悪くなった。
「…どうして隠し子を庇ったりしたんだい?」
「それには二つ理由があって、一つは、隠し子の不幸な生い立ちや、これからの未来のことを考えたら、良心が黙っちゃいなかったのさ」
「真実は必ず暴かれてしまうよ」
「…それともう一つは、さっきも言ったように、僕も罪人という意識があったからさ。神と法の狭間に僕の真理の世界があって、其処で僕は罰を受けようとその機会が訪れるのをずっと待っていたのさ。…精神状態は限界だった。だから僕の中では、正義と悪が対立していたんだね。まるで僕の中の中心から、一本の線を引いて二
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