中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
うに裁かれることはないよ…」
君は初めて僕の言葉を遮るように答えた。
「僕は?父親?を殺したいぐらい憎んでいた。だから僕も本当の意味では罪人なんだ。いつ何時爆発するか分からなかったんだ。俗に言う運命の悪戯さ。父親の隠し子は僕が警察に通報するまでの四時間の間、僕に殺した理由を話してくれたんだ。僕と同じような考えさ。ただ、?自分の倫理に背いていた?だったからだってさ。隠し子は暗闇の中で生まれて、ろくに教育も受けられずに歪んでしまい、?やはり?っていうのは僕の蔑みだけど、ちょっとしたはずみで殺人を犯してしまったんだ」
 僕はそれを聞いて自分の中にある沈静していた暗闇が激しく蠢き、頭が混乱した。
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