中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
思うけど、─僕等お互いがお互いを…似た者同士を求めていたから─じゃないからかな?」
「僕もそう思うよ。僕達は心に同じ暗闇を持っていたんだ。父親への憎悪という暗闇をね。それが僕達をこの世界に結びつけたんだ。僕達は意識的にずっと欲していたんだ。自分と同じ暗闇を持つ者と理想の世界を共有することを。でもそれは実は更に孤独を深める結果となった。現実から自分の世界の殻へ閉じ籠もる原因になった。でも自信の無い自分を鋭利な凶器にすることができた」
 僕は君の最後の言葉が何を意味しているのか暫く分からなかった。
「…君は君の父親の隠し子を庇っていただけじゃないか…譬え殺意を持っていたとしても君は君の思うように
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