中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
で待っているのはこれで三度目だった。煙草は吸っていなかった。釈放されてから散髪したのか、君はいつもより短めのヘアスタイルで、髭も綺麗に剃ってあった。君は心身共にリフレッシュしたような印象を受けた。暗闇の中から僕を見つけ出すと、いつもの癖でだらしなく右手を挙げ、そのままゆっくりと手招きした。
 僕がライト一つの文芸誌コーナーに着くと、君は口元を緩めたが、次第に真剣な表情になっていった。
「突然で悪いけど、今まで?僕?と?君?が月に一度、この空間…世界と言ってもいいかな、出会うことができたのはどうしてだったと思う?」
 僕には不思議とすぐに返答することができた。
「それは実に不思議な事だと思う
[次のページ]
戻る   Point(0)