中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
しようとしていた。僕は、彼らに対して、無意識のうちに、距離を置いていた。と、同時に自分に対して後ろめたさも感じていた。?君が本当に父親を殺したということを、疑うことすらできなかったこと?に。僕は思わず自分の愚かさのあまり顔が赤面してくるのを感じた。その夜は、トップニュースではないが、君の無実が確定し、釈放されたという報道がどのTV局でもなされた。彼女からも何通ものメールが来て、それを見る度に、報道の信憑性と現実感が湧いてきた。
君は釈放後の記者会見をやらなかった。ただ、君のバンドの公式ホームページに、レコード会社のスタッフから、後日新たにホームページをリニューアルして、アルバムの発売も君の
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