中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
居間へ駆け込み、TVを点けた。僕は映像とテロップだけでは頭に入らず、郵便受けから朝刊を引っ張り出して一面と第一社会面の活字を舐めるようにして読んだ。何度も読み返した。暫く放心状態で新聞を持ったまま母親が起きてくるまで微動だにできなかった。朝刊の記事と、TVから流れる報道で、君は隠し子が父親を殺したことを庇って自分が罪を被っていたことを知った。今日の午後にも、君は刑務所の拘置所から出てくるらしかった。朝食も取らず、自室に戻りインターネットに繋ぎ、巨大掲示板のニュース速報のページを観てみると、君の釈放に関するスレッドが幾つも、大々的に立てられていた。書き込みも、今までに見られた罵詈讒謗が掌を返したよう
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