中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
のネット中毒患者になってしまっていた。僕の頭は過激な書き込みのフラッシュバックで満ち溢れ、一日中それらが胸に突き刺さるような痛みを感じていた。さらに、大好きな読書からも遠ざかっていた。君が拘置所にいて、もう文芸誌を読んでいないということが僕をそうさせていたのだ。
夢現のような状態で日々の境目が見分けつかなくなってしまっていたある日の朝、苦痛に耐えて携帯電話でインターネットのトップページを開いてみると、トップニュースに書かれた記事と、その瞬間に画面から放たれた光で一気に覚醒した。
?容疑者の父親の隠し子が出頭。殺人容疑で逮捕?
僕は記事を開く前に、自室から飛び出して、一階の居間
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