中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
入らないと思ったからだ。代わりに、図書館で、携帯電話やパソコンから君に関する記事を観ていた。僕は煮えたぎる感情を抑え、ただじっと画面を睨み付け続けていた。と、同時に、どうしようもないという諦めをつけている自分がいた。その存在に不慣れながらも、徐々に怒りの手綱を緩めていたのだ。彼女は僕が授業に出られない理由を知ってはいたが、留年を不安視し、度々僕に忠告していた。しかし、僕は彼女の言葉を拒否し、自分の殻に閉じ籠もったままだった。殻の中で僕は苦悩し、諦めさえも自分の首を締め付けた。インターネットに書かれている君の中傷や批判は、観れば観るほど心をズタズタにし、観なければパニックになってしまいそうなほどのネ
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