降り立つ / ****'03/小野 一縷
優しい男にしてくれた
ああ
もう 時間だよ
終りだよ
吐く息の倦んだ濃度で分かるだろ
この淡い憂鬱と 速過ぎる迷走と
絡み合う祈りと怒りに 手を振って
さようなら を
藍色の路面 転がして
いい気分で 帰るんだ
軽く素早く 睨む 白線一本
鼻突いて
血と心が 日々を 染めるんだ
蛇のように ずるずるの足跡を 引き摺って
どろどろの 白煙吐いて
よろめいて 何だって黒ずんだ
ここにあるのは 呆れた 現実への執着
腐りかけて 艶を増した
意味もなく光る 蓄層 ただの時間の 重なり
そろそろ帰るよ
頭の中の白に 目蓋の裏の黒から
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