記憶の壷/ホロウ・シカエルボク
 




許されない歌と
悲しまない声の祭り
阻まれない夢と
ひび割れた道の終わり
長い歩みが終わりを告げる
その時の寂しさのような気持ちで
あなたはほんの少しの
木の実を口に含むのです


生まれてからこれまで
呼吸のように繰り返してきた思い
わき水にふれ
冷たさに震える感じみたいな気づき
愛玩用の鼠が小さな車の中で走りつづけて
そのあとはっとなにかに気を取られたときの目つき
カレンダーの空欄では
すべてのルートを記すことは出来ない
確かな朝靄みたいに
昨日は断片をさらして
ピノキオが迎える明日と
同列だけど有限な朝の数
それ以上語らないで

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