ハイド・パークから少し離れて/天野茂典
まるで誰かのパーティのようだ
ハイド・パークの森から
少し離れて
パブがある
みんなジョッキを傾けて
満員電車のように立つ場所がない
一杯また一杯
鴉のような男たちは嘴をぱくぱくさせながら
しゃべりこんでいる
ここがイギリスなんててんで思えやしない
まあどこでもいいが
歩き疲れたあとの
ビールのうまさ
ごくごく
砂漠に吸われる雨のように
細胞核に滲みてくるのだ
イギリスのオーラ
労働者のオーラ
みんな疲れてみんな陽気で
きょうの終わりを
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