黄昏の霊廟 ★/atsuchan69
を離れて
宙にぶら下がった両腕の手指を最大限に伸ばした
「いいのよ、これで‥‥」
たった数人の今は亡き友人は白く能面のような顔を作って
輪のように私を囲み、サンダガラ、マギ、ナコステ、と口ずさむ
――サンダガラ、マギ、ナコステ、
美しい夕映えが湿った潮風とともに生と死の際に打ち寄せて
あえて形容し難いその崇高なる想いに私の声も震えて
――ナビラ、アシュ、アマンダ、マギ‥‥
やがて深い哀しみの海の果てに夜の帳が降りはじめたが、
尚も友人たちと私は、得体の知れぬ唱和をつづけた
だがしかし、ふと妙な気配を感じて
私はふり向きざまに息も止まるほど呆然とした――
黄昏
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