黄昏の霊廟 ★/atsuchan69
きつけた籐の踏板に片足をのせた
思わず、駄目だよ! と私は言った。
あ、登っちゃいけない!
無理やり蔓を握ると、私の指に棘の痛みが走った
その手を庇うや、私は指の腹に滲んだ微量の赤を見た
まもなく螺旋の花飾りはゆっくりと回転しながら上昇をはじめ
遠い記憶の中でさえ味わったことのない鉛色の暗い孤独が
華やかな薔薇色に染まった夕映えの空に背いて、
虚しく亡霊のような淡い影を地上に落とした
身を仰け反らせて天へと登る女と地上の死人たち、
そして光沢のある朱子織の衣を纏った女は
甘く匂う花飾りのある鋭い有刺の縄梯子とともに
アオビユやイヌビエや猫じゃらしの茂った海辺の庭を離
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