おぉ私の瞳を赦し給え/真島正人
ら電話線に繋がれた
目に見えない線で
私は私の喉の
声を操り
あなたと対話をしてた
ずっと
※
ある路線を
やってくる
みずいろの列車に
今日あなたは乗り込み
寒かったのでコートを着込み
そのポケットに
使い古した革の財布を
入れておいた
革の財布は
あなたのポケットの中で
考え込み
反省し
悔やみ
涙を流し
それからやっと
それ自体としての思考の質を
獲得した
その革の財布は
あなたのコートのポケットの中で
タービンのように
ぶるぶる
ぶるぶると
高速で
回り続け
たが
あなたはそれに気がつかなかった
あなたはそれを
出
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