おぉ私の瞳を赦し給え/真島正人
 
ら電話線に繋がれた
目に見えない線で
私は私の喉の
声を操り
あなたと対話をしてた
ずっと



ある路線を
やってくる
みずいろの列車に
今日あなたは乗り込み
寒かったのでコートを着込み
そのポケットに
使い古した革の財布を
入れておいた
革の財布は
あなたのポケットの中で
考え込み
反省し
悔やみ
涙を流し
それからやっと
それ自体としての思考の質を
獲得した
その革の財布は
あなたのコートのポケットの中で
タービンのように
ぶるぶる
ぶるぶると
高速で
回り続け
たが
あなたはそれに気がつかなかった
あなたはそれを

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