おぉ私の瞳を赦し給え/真島正人
 

出し忘れた手紙の残滓かあるいは
列車の
よくあるがたごとと
勘違いをしていたのだ
あなたは
考え事の最中
ふと目をあげて
車窓から見た
……唐突な
海の青
ある路線が一度だけ見せる
群青の
窓の外の海を

海にはいくつもの
突起物があった
あなたはそれを
波の悪戯だと思った
波の悪戯にしては
妙に
鳥たちが
集まっていたが
気にするほどのことではないと思った
(事実その通りなのだ)
ので
すぐに目を閉じて
新しい
思考のテーゼへと
移行を始めた


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