襤褸凧/……とある蛙
 
疲れた眼を開けると

目の前の街路にわさわさと
夥しい数の奴凧が
尻尾を引き摺ったまま
蠢いている。

大きいのやら小さいの
赤いのやら黒いのや
斑模様やら縞模様の
真丸のやら楕円のや

沢山蠢いているが、
一様に輪郭がぼやけていて

凧の骨組みから紙の切端が漂っていて
風に吹かれると襤褸(ぼろ)のまとわりついた
竹棒が宙を貫き立っているような

風に煽られあっちへふらふら
こっちへふらふら
ややもすると
風に煽られ引っ繰り返る

引っ繰り返った凧の顔
ひどく無様な夜叉の顔

引っ繰り返った凧の顔
ひどく悲しいオカメ顔

引っ繰り返った凧
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