確かな過去なら昨日すれ違った誰かに聞きなよ/ホロウ・シカエルボク
ない
理由についてうまく
話せた方がお前には望ましいのか?
トライアングルの高い音色
夜の路地を転がって行く、誰だ、誰の仕業だ
床を見つめていた俺は
一匹の油虫を踏みつぶしたことに気付いた
ささ、やかな、内臓が語る確かな死は
だけど、哀しいくらい
故障という印象と遠く離れてはくれなくて…
身体の中で血液が
引力に誘われて違う次元に逃げて行った
俺は、そうだ、ある種の概念の弾丸によって
何度かの焼却場の中で覚えた感触によって
蜂の巣、になるまで狙われるのだと―眠りは決して確かなものではないのだと
(そして静かにリプレイを繰り返す夢魔の思念)
俺の意識は俺が殺すためにあ
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