確かな過去なら昨日すれ違った誰かに聞きなよ/ホロウ・シカエルボク
れた赤子がそこに居た
色の別れていないビイドロの眼差しで
産道から見た最初の光を探しているのか
動脈がところどころ躓いて跳躍する
生身のポンプが嫌な負荷に耐える
セレナーデの行先は何時だって
確かめようのない大事な手紙の末路みたいで
色が変わる…視界の
目に見える物の色が変わりだす
屈強なセロファンが水晶体に差し込まれるみたいに
そのライトはどんな始末を照らしだそうとしている
暗闇にうつ伏せて顔のない敵を待つ時間
仕留めたあとで見慣れた顔がそこに現れたとしたら…
装填された散弾の遊びがカタカタと怯えた歯のように鳴る
聞いたか、反響のない振動は
霧のように体内に染み込ん
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