異子。亜子。/手乗川文鳥
 
洞を埋めます
わたしで満たされます、
いつか隙間や空洞はわたしと呼ばれます
けれどわたしはななしなので
隙間や空洞も名前を失っているのです
あなたは困り果てていつか
アレ
と呼びました
「「「「こんにちは、アレです」」」」
網戸にしがみついたりします、窓を全身でノックしたりもします
光沢のある身体の色に名前はあるのか知らない


わたしの腕をむしりとり、
わたしの脚をもぎとって、
わたしの頭をひねちぎり、
わたしの中には、なにもなくても、
中身を確かめる、あなたの視線がわたしを貫いた瞬間
わたしはただの空洞では、なくなったので、
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