朝刊配り/たもつ
 
 
 
マリアナ海溝の深さに目が覚めてしまったので
朝刊を配りに出かける僕の毎日が
あちらこちらから、それは誰の所為でもないけれど
くの字や、みの字になって寝ている家族の
まぶたが開いてその奥にある何かしらのものが
流れてしまわないように、そっと朝刊を配りに出かける僕の
僅かな全部が配るべき家と配ってはいけない家を
熟知しているので、その他に注意すべき事項を
かすみ草で作った便箋に箇条書きしていくとあっという間に
三十分経過し、便箋はいつものように白紙のまま食卓に置かれ
朝刊を配りに出かけると昼間に見慣れた街並みが
ドライアイなので目が痛い時間帯であるので
原動機付自転
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