創造妊娠/佐藤真夏
 
す、というようなことを言いたかったのに言葉がわからなくなったのか、声が出なくなったのか、わたしは小さな泡をぱつんぱつんと吐きだしただけだった。あららおかしいなと思ったときには身体は平らになり始めていて、耳、鼻、口、その他すべての穴も塞がり、もう呼吸をしなくても生きていけるのだと知った。
管は木星の輪にそっくりな様子でおなかのまわりを一周し、始まりに吸いついて離れず、朝と夜の混ざったような色をしていた。管が湿り始めると雨が降ったのだと思い、動くものがあればなかで星が流れたのだろうと思った。
わたしを取り囲んでいるのは紛れもなく水だったけれど、息のいらない今となっては空気との区別も必要なくて、外は
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