創造妊娠/佐藤真夏
外はあるようでないような絶対の自然、でした。五感を塞いで○(まる)を目指すわたしは、そうして残った自然の中をふわふわと漂う第六感そのものでした。
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一日のうち一度だけ、管が赤色に近づく時刻があった。
二十四時は必ずやってきて、水の顔を教えようとする。
こっそり指を生やして、目蓋を盗み、服を着せようとする。
風の気配がして、出口が見えそうになって、
はさみをもったお医者さまと目線が繋がりそうになる。
だから火を、つけてしまうんですよ。
毎日、架けられた梯子が燃えていった。
わたしはまわった。真っ白な灰が、雪のように降り落ちていく。わたしはまわりつづける。
一日に一度の自転、それがわたしの日課で、法則だった。
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