火の学会の着席順 清水武夫/鵜飼千代子
菜の花のように
ひかっていた
水色の照明がよくきいていて
みんなを平等に照らしていた
でも
前から三分の一ぐらいは
あたまがたいへんひかっていた
あたまのひかる人々は
みんな前の方にすわった
もちろん
わたしの尊敬する先生がたは
前の方にすわられた
一番前列の
まんなかの席には
底の知れない穴があいていて
ひかりを黒くすいこんでいた
火学の泰斗
あのまばゆかったS先生が
さいきんなくなったのだ
O君にあった
あたまをひからせながら
おーと言った
もう一人の
O君にあった
あたまをひからせながら
やーと言った
おーやーおーや
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