陰湿機/「Y」
 
ない私の書斎に隠しておくことぐらいだ。

 現在も「陰湿機」は、箱に入れられたまま、私の書斎の一角、書棚の横に置かれている。買ってから数日のあいだは、この機械を有効活用する妙案が無いだろうかと頭をひねっていたが、今はそれもやめてしまった。ところが、どういうわけか、この「陰湿機」を棄てる気にはどうしてもなれないのだ。
 ある晩私は、ベッドの中で妻に打ち明けた。これから先も、「陰湿機」を使う見込みはないけれど、そうかといって、棄てる気にはどうしてもなれないのだということを。
 あの機械を買ってから、ずいぶん日にちも経っているし、妻の怒りも収まっているだろうと思ったのだ。
 妻は「ふふん」とい
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