陰湿機/「Y」
かいいようがない。幾らタダ同然の値段とは言え、使い道のない商品を購入したということになれば、ドブに金を棄てたのと同じだということになる。
「申し訳ありませんが、この製品に限っては、当店としても捨て値ということですので、返品NGということでご容赦くださいませ!」と言った加藤店員の嬉しそうな顔を思い浮かべ、私は舌打ちした。
「あのさ、その店員が加藤っていうんだけどさ、ヒョットコみたいな奴でさ……」
「そんなの関係ないわよ!なに考えているのよ!」
私の見当はずれの返答は、妻の怒りの炎に油を注ぐ結果となってしまった。私に反撃の余地は一切無い。私にできることは、「陰湿機」の箱を、妻の視線が及ばない
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