Don't Let Me Down/ホロウ・シカエルボク
 
の姿は」
ふふ、と笑って彼女は寝返りを繰り返す
もともとは赤くて
少し肌色を足したようになってる、そんな肌
彼女の緩慢な寝返りはシロナガスクジラを連想させる
俺はキッチンで取ってきた缶ビールを飲みながら彼女に話しかける
「これまでに何枚、真っ赤な剃刀を捨てた?」
「そんなこと覚えてられるわけないじゃない」彼女はくすくす笑う
彼女は幼いころから剃刀が好きだった、初めは刃先を目のすぐそばまで持ってきてうっとりしながら眺めているだけだったが、そのうちに指先を切るようになった
「小鳥を殺したことがあるわ」
いつだったか、そんな話を聞いたことがある
「私が生まれる
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