白い白い土蔵のなかで/吉岡ペペロ
らだが動かなくなった
なかからは伊藤くんの読経が聞こえていた
伊藤くんのお母さんはあのとき僕をなぜあそこに案内してくれたのだろう
もう二十年以上がたつのにますます分からなくなるばかりだった
伊藤くんのお母さんは、ここにしばらくいなさい、というような笑みを浮かべて僕をのこして行ってしまった
しばらくすると伊藤くんのお父さんさんの声にお母さんの声がかさなっていた
土蔵のなかからは伊藤くんの読経が聞こえている
伊藤くん、僕は土蔵に向かって叫んでいた
さんにんの読経が続いていた
僕も地べたに座り込んでその子守唄のような呪を叫んでいた
そしてしばら
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