椅子が記号になるために/乾 加津也
 
あう虹の降順をくらべ、せまる鱗の神々しさにたちすくむ

 わたしにつながるものたちよ!
 わたしの臍に、手をつきいれよ!
 みぶるいのまま、あいの交感
 わたしが、あゆみゆかない年号ごと濡れそぼるため、わたしの椅子にひとり
 首の燔祭を、くいいる一匹の蛾とともに、こいねがう、ため

 それから、は
 椅子はわたしの、やはらかい、きざはしに、なろうと
 わたしの腎(むらと)に、わけいり
 わたしたちはもはや
 主(あるじ)に背をむけた
 殊勝な執事の、やかたのように

だから
宵やみよ、こい
椅子のかかとをまさぐり、さびた錠前のようにつるしあげよ
背もたれの延長
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