一時間/塩崎みあき
 
のすぐ際まで建物が建ち連なっている
突然に
ぽかんと広い空き地があって
その丁度真ん中あたりに
古い木製の電柱が立っている光景を見た

と思って目で追ったが
もう遥かうしろ
斜向かいに座っていた
綺麗な感じの少年と目が合って
恥ずかしくなった
少年は気にする様子もなくどこか遠くを見詰めた

 夜は孤独で構成されているからね

ふいに
そんな言葉がよみがえった
おととし海で溺れて亡くなった青年の
弟が発した言葉
この弟も今は記憶の中だけの人間なのだ

その空き地は住宅街には不釣合いであった
街のデッドスペース
死んでいる場所
使われていない電柱が

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