一時間/塩崎みあき
一本建っているだけの場所
なんて
存在させておく意義がない
そう
有意義でない
と
常識人なら言うかもしれない
けれども今日は
思念を置いてきてしまったから
若くして
命絶えてしまった
彼や彼等について
やけに無色透明
同じ席など何処にも無く
車両は毎日ランダムに連結され
自分自身もとっかえひっかえ
弱い部分を突かれるのが怖くて
彼等のソナーに引っかかるのを
ひたすら恐れている魚群の中の矮小的
暴かれたくなくて
車窓から見ていたのはほんの一部の風景
いつの間にか外は闇
許されるならもう少し
鼓動のようにゆれる車内に
一時間分の
存在する意義を見出すための
この一時間分の
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