連詩 「 知覚 」 よもやま野原・竹中えん・なき・夏嶋真子/夏嶋 真子
 

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てのひらのまるみを重ねてそのなかで船を育てよう
地球儀のうえを爽快に漕ぎゆくふたり
つややかな飛沫はとびうおとなり鱗は光る虹になり
虹彩の中でなんどでもあたらしく出会うきみ そのたびに名づける
こぽこぽと湧き出る入れ子の世界の中心はきみの返事で時がねばつく


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次々と死のひらく、枯れ野を火が舐めるゆうべ
踊りましょう、歌いましょう 熱く輝く花から生まれ出づる命に焦がれ
散り散りと燃えるノートはやがて正しいことだらけの教科書を焼く
走り書きした「こわい」の文字が脈打ちながら燃えている
匿された病と、灰か
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