連詩 「 知覚 」 よもやま野原・竹中えん・なき・夏嶋真子/夏嶋 真子
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憶測の言葉に縛られた祈りを纏い窓硝子を蹴破って
奔放な空へ翔び立てば青と青の反転 尾びれの生えた爪先が波に翻る
空と海と宙の境をしなる身体ひとつで射ちたい
星を受胎する少女らの眸は、まだ蕾のまま
白い毛糸で編まれた貝殻をポケットにしのばせる
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結び目を解けば幾億の雨の順列に細胞は萌芽し
双葉が囁くように震わせる睫毛の先に架かった光の梯子
それは、瞼のうちで裏返ってゆく月光に似て
草の根の這う体で空へ空へと手をのばす
銀の海を湛えた浜昼顔は点在する世界を連ねた双曲線を描き咲いた
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