ラブ・ラプソディー・ブルー/木屋 亞万
体に何ともいえない快感があった
女は何の反応もせずふてぶてしい表情で中空を見つめている
目が覚めたとき少し自分が悲しくなった
恋人がほしいと呪文のように唱えていたら
その呪文の効果が切れてきているように思える夢を見た
髪の長い女が胸から血を流しながら歩いている
それは私が好きだった女だ
彼女の白い服は血で赤い染みになっている
歩きづらそうな彼女を脇で支えながら
手当てができそうな場所を求めて
百貨店をうろうろ歩き回ったが
そこに彼女を治療できるところはないようで
やがて彼女の息が細くなって
死んでしまうかもしれないと思ったときに目が覚めた
何かが終わっていく気配だけ
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