ラブ・ラプソディー・ブルー/木屋 亞万
恋人がほしいと呪文のように唱えていたら
顔もわからぬ女と激しく抱き合う夢を見た
寺のような板間のうえで
薄いテラテラの布地のワンピースを着た女
黒い髪の女
ちょうど私の上に覆いかぶさるように
そしてただ物理的に私の上にのって
もぞもぞ動いているだけだったその女が
すごく愛しくなって
目が覚めたとき少し悲しかった
恋人がほしいと呪文のように唱えていたら
顔もわからぬ女に土下座しながら求婚する夢を見た
鼻水を垂らしながら嗚咽やしゃっくりやら何やらで
訳がわからないような状態で
好きだ好きだと言い続けていた
その女のことはそれほど気にしてはいなかったが
その行為自体に
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