あぐら/錯春
 


「ハタチスギレバタダノクズ」

どんなに書こうが
今となっては小手先なのだった
正社員に就けたこともなく
自意識という贅肉で重くなった身体のフットワークは最悪だった
かつての神童は社会に出たら単なるショーモナイ、ドーショーモナイ、人間だった



父はそんな愚か者を一度も責めたことはなかった
父は、晩年授かったこの親不孝の愚か者を
それでも一度も責めたことはなかった

「稼げるように、なんのが」

それは叱咤ではなく
心配と慈愛に満ちた質問

「わからない」

正直に答える

「先のことは、わからない。でも、これからも書き続ける」

ぶっき
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