あぐら/錯春
「ハタチスギレバタダノクズ」
どんなに書こうが
今となっては小手先なのだった
正社員に就けたこともなく
自意識という贅肉で重くなった身体のフットワークは最悪だった
かつての神童は社会に出たら単なるショーモナイ、ドーショーモナイ、人間だった
父はそんな愚か者を一度も責めたことはなかった
父は、晩年授かったこの親不孝の愚か者を
それでも一度も責めたことはなかった
「稼げるように、なんのが」
それは叱咤ではなく
心配と慈愛に満ちた質問
「わからない」
正直に答える
「先のことは、わからない。でも、これからも書き続ける」
ぶっき
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)