夢万夜/木屋 亞万
 
体の欲するままに肉をむさぼり
白い繊維に血を送り続けているのだ

空はヘドロのような緑色をしていて
よく見ればそれが空を覆うカーテンであることがわかる
異常発生したプランクトンが海を殺すように
過剰なオーロラは空を窒息させてしまった
地球を出なければもう宇宙は見られない
孤独は日に日に大きくなり
成長を続けている

夢だ
寝ている間に降り立つ世界には
すべての感情がひたひたに満たされている
涙を流し呼吸を乱しひっくひっくと嗚咽し
どれだけ大きな声で悲しみを表現しても
それは夢
それで十分
喪失や
あるいは失われる前の血の通った幸福と
皮膚にまとわり付くように
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