カナリヤ/ホロウ・シカエルボク
内臓の温度なのかもしれなかった
汗は滲んでいたけど
不快なほどではなかった
どちらに向かって歩いているのかも分からなかった
どこに向かえばなにに出会えるのか
まるで
分からなかった
視界の果ては
適当なグラデーションで
塗り潰されていた
俺は脳漿を踏み続けた
ジーンズの裾は少し濡れていた
それが足をひどく重たくさせた
これは夢なのか
俺は
眠りの中で踊らされているのか
答えは思いつかなかった
ただ
ある意味で
そこは
すべての現実から隔離されていた
隔離
隔離
現実
俺の脳味噌がこれまでに吸い込んできた様々なものは
ここでは
なんの役にも立ちはし
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