レモン色のチューリップが/乾 加津也
ぼりました
あなたの心はいまも
くらい土の混沌にたたずむというのに
あなたに過去などないと
しりもしない誰かが言いきったというのに
幽閉のあとさき
ちょうどこんな空白のいちにち
あなたはすでに処決をすませていたのですか
それは雨天のせせらぎであって
レモン色のチューリップ
あなたが
レモン色だからなのですか
異郷にも雨がおりてきて
あなたのようなものたちをぬらしています
立つことは耐えることですと
おませなぼくは停止のわけを思ってみたりします
あたりはどんよりとしていて
あまりに 明るくはなく
でもあなたのように ひっそりとすがしく
雨音のうらがわ 耐えて
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