メディウム/真島正人
いや、何も映っていない
映らない
映らないことで
そこにあることを
許可された光が
白い束となり
まっすぐに射程する
壁のそばを埃が舞っている
壁の朽ちた汚れが光に強調される
そこにはなにもない
そこには
そこには
カタカタと廻る映写機
黒ずんで汚れた 数え切れない無邪気な笑顔たち
雨
の匂い
不意に戻ってくる
一つ先の場所から
こちらへ
飛び降りる
飛び越える
跳躍
跳
瞬間にしか
出来ないことだ
瞬間にしか
それは
感じること
感じること
感じること
感じることしか
扉を開
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