メディウム/真島正人
 
を開かない

扉は
黒ずんでいる
まるであたかも
洋服屋の、
ファッションショップの、
模造された
薄暗さのように
「ように」
事実
それは似ている

見分けが付かないぐらいだ

黒い絵の具を塗り手繰った画用紙と
血を塗り手繰った画用紙
並べてみると
その違いのなさに
眩暈がする

だからだろうか
だから、ではなく
そうだから、
だろうか

そうだから
ここでは

ここにおいては

映写機のフィルムは

ないことが好まれる

時折
違う段階から

脈絡を欠落した姿で

飛んでくる

飛んでくる

飛んでくる

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