メディウム/真島正人
で処理すれば
一番都合のつく物質
埃、かすかな匂い
それらに入り混じり
そこにあるのが当然であるかのように
もちろん当然として
鎮座する映写機
また、
ここに来てしまった
僕に対して
まだ、
そこにはいない
映写機は
そこにはいないから
確かに
まわすことが出来るフィルムを
カタカタと廻し
コンクリートを
ところどころむき出しにした壁を
スクリーンにして
映像を流す
映像は
空白
そこには
何も映っていない
くるぶしから先の裸足の足
……いいや、何も映っていない
ある時代のありふれた雑踏
……いいや
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