メディウム/真島正人
 
で処理すれば
一番都合のつく物質
埃、かすかな匂い
それらに入り混じり

そこにあるのが当然であるかのように

もちろん当然として

鎮座する映写機

また、
ここに来てしまった

僕に対して

まだ、
そこにはいない

映写機は
そこにはいないから
確かに
まわすことが出来るフィルムを
カタカタと廻し
コンクリートを
ところどころむき出しにした壁を
スクリーンにして
映像を流す

映像は
空白
そこには
何も映っていない

くるぶしから先の裸足の足
 ……いいや、何も映っていない

ある時代のありふれた雑踏
 ……いいや
[次のページ]
戻る   Point(1)